夕方、まだ空に少しだけ明るさが残る頃。
ふとスマホを手に取り、既読のまま返事がない画面を見つめる。
あなたは今日一日、何度も自分に言い聞かせてきた。
「冷静に、ちゃんと見極めなきゃ」
その言葉が、まるで呪文のように繰り返されていた。
相手の言葉の端々を拾い上げては、“この人はやめておいたほうがいい”と、理性が何度も告げてくる。
けれど、そのたびに、心の奥のどこかがざわつく。
「でも、また会いたい」
そんな気持ちが、静かに、でも確かに息づいている。
夜、ワインを一杯だけ。グラスの中にゆらぐ液体が、まるで自分の気持ちそのもののように見えた。“好き”と“違う”のあいだ。“理性”と“欲”のあいだ。そのどちらにも立ち切れずに、ただ浮遊している自分。
思い返せば、あの人と過ごした時間はいつもどこか曖昧で、でも居心地がよかった。
「もっと知りたい」「もっと触れてみたい」──
そんな想いが、きちんとした形になることはなかったけれど、だからこそ惹かれてしまうのかもしれない。
あなたは今、自分の中にある“矛盾”と“迷い”に気づいている。
そして、それを否定せずに、ただ静かに見つめている。
夜が深くなるほど、心の輪郭がはっきりしてくる。
「触れたい。でも、傷つくのが怖い」
そんな想いが、肌の上にすら表れてくる気がした。
ほんの少しLINEの着信音が鳴るだけで、息が詰まりそうになるのは、そのメッセージの意味を自分が決めきれないからだ。
関係性に名前はない。未来の約束もない。それでも「今、そばにいてほしい」と願ってしまうのは、自分が弱いからだろうか。それとも、それが“恋”というものなのだろうか。
乙女座のあなたは、いつも理屈で整理しようとする。
だからこそ、その“不確かさ”に戸惑ってしまうのかもしれない。
答えを出さなくていい夜が、あってもいい。
そのことに、今日、ようやく気づけた気がする。
白か黒かではなく、グレーなままでも大切にしたい気持ちがある。
“好き”だと断言できないけれど、“嫌い”とも違う。
そんな曖昧な心のかけらを、今日は無理に形にしなくてもいい。
冷静であろうとしたあなたも、
本当は求めていたあなたも、
どちらも“本当の自分”だから。
今日のあなたは、自分の心の輪郭をそっとなぞることができた。
それは、誰かと距離を縮めるためではなく、まずは“自分と距離を近づける”ための大切な時間だったのかもしれない。
触れたくて、でも怖くて。
求めたくて、でも理性が止める。
そんな揺れを責めなくていい。
むしろ、その揺れの中に、あなたらしさがある。
そしてもし、また迷ったときは。あなたの“曖昧な本音”に耳を傾けてくれる場所が、ここにあります。
『てのひらのことだま』では、決めきれない夜の気持ちも、言葉にできない心の動きも、すべて受け止めてくれる占い師がいます。
迷いも矛盾も、否定せずに整理してくれる時間が、きっとあなたの心を軽くしてくれるはずです。
今夜は、自分の心に優しくなれたことを、そっと誇りに思って。
